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<ネタバレ>宮崎監督としては、今までと違う手法の作品であることは間違いないです。
子供を意識していないためか、客が見たいものを見せるより想像させる描写が多く、夢のシーンを除いたらすごく普通の大人向け映画です。
情感あるシーン、盛り上がるであろうシーンも過剰にならず、ひっぱらずに早いテンポで物語は進みます。
言葉でメッセージらしきものを語ることもありません。
主人公の行動を見ていると、監督自身の自伝でもあるような感じがします。
途中で始まり、途中で終わるかのように余韻は感じませんが、すなわちそれが「生きること」でまだ先があるというメッセージのように思います。
2度3度見て味わい深く、子供にはよくわからんけど印象に残るような作品に思います。
宮崎監督が初めて大人の視点で映画を作ったということは、逆に子供向けの映画では主人公の2,3日の行動にベッタリつかないと子供はついていけないという手法の違いを見せてくれたことで勉強になりました。
声優、音響など宮崎監督ならではの試みもありますが、成功しているかは別として自分はこの考えは肯定します。
しかしヒロインの端正な顔はもう飽き飽きです。美人って人の数だけ細い美人やふっくらした美人やタレ目の美人もいるのに、ジブリ作品の美人は同じ役者が衣装を変えているだけのように見えてしまいます。
子供の描写はおそらく世界一なのに、絶世の美女となるとどの作品も同じ顔になってしまうのが、不満ではあります。
しかし単純に泣けたいうことでは語れない密度を持った作品であると思います。
何が起こっても状況を受け止めて行動している主人公の描写、悲惨な震災や戦争に対して不平不満を言わず(そういう描写は省かれている)一歩引いた目で「状況」として捉えて行動している描写自体がメッセージのように思います。
紙ヒコーキのシーンは実に映画的な名シーンだと思います。[良:1票]