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<ネタバレ>公開当時はWindowsもMacも知らず、パソコンを自分の生活と結びつけて考えることもありませんでしたが、今見ると、ロボットの操縦を支援するシステムとしてOSという概念を取り入れ、ウイルスで制御不能にするという発想が卓越しすぎです。
それまでのロボットアニメって、ガンダム以降でもなんとなく優秀なコンピューターが入っているというぐらいの設定しかなかったですから。
公開当時の近未来の風景として、ロボットが闊歩しつつ、昭和の古い風景も残りつつ、湾岸の大開発もありつつ、誰も携帯電話を使っていないというのは今見るとすごくシュールです。現在ではようやくAIBOが走っただけで到底実現できない部分と、インターネットによって情報伝達ではこの近未来を超えている部分があり、パラレルワールド的な世界を今は楽しめます。
監督が生活の苦しい時期に「仕事」としてエンターテイメントを無理に作ったらしいですが、結果的にすごくバランスの良い作品です。自分は才能を持った人が作家性2割、職人性8割ぐらいで仕事をした時に傑作を生み出すと思っています。つまり2割は言いたいことを言わせてもらうが、8割はサービス精神を発揮するというバランスです。監督としては最も苦しい時期だったのかもしれませんが、自分はこの時期がこの監督の頂点だったと思います。アクションのセンスも抜群、笑いもあり、ミステリーの面白さあり、蛋白であるが微妙な恋愛模様あり、反権力、文明批判をちらつかせ、後味は無理やりではあるが爽やか。(爽やかであるから、暗黒の作家性がスパイスとして観客の印象に残るのです)
この作品は「ヘッドギア」と呼ばれるメンバーの才能が奇跡的に噛み合った稀有な作品だと思います。
この監督が言いたいことを言っているだけの最近の作品は無残です。