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<ネタバレ>実際の尺は3時間40分くらいあるが、内容はそんなに濃いわけではない。一番の問題は、ポイントとなるはずの場面で、そのポイントをついていないこと。ジャベルがマドレーヌに対面して、いきなりフォーシュルバン救出シーンになってしまう(前提としてのマドレーヌへの敬意がないので、後のシーンが引き立たない)。ジャベルの一言でファンティーヌがこときれるシーンがない(ジャベルの冷徹さが表現されない)。バルジャンがコゼットの救出に行った際、テナルディエが悔しがる一幕がない(バルジャンの人格的大きさ、テナルディエのバルジャンに対する屈辱感が表現されない)。修道院に逃げ込む際の「壁上がり」がない(スリルを削ぐとともに、バルジャンの肉体に刻みつけられたものの深さが物語られない)。等々、脇道には結構あちこちに反れている割に、肝心の所が押さえられてないのです。唯一、他の作品より深かったのは、エポニーヌの扱いが丁寧なこと。というか、どうみてもコゼットより出番多いぞ。あと、ファンティーヌが堕ちていく下りを、顔面アップのストップモーションの変化で表現したのは、衝撃でした。