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<ネタバレ>冒頭の数分間で、すでにサリー・ホーキンスが完全な役作りを行っていることがビシビシ伝わってくる。何らかの障害がありそうなこと、これまでの人生でいろいろ不自由も苦労もしていそうなこと、しかし芯は存在して言い返すべきことも言い返すし、ときにはちゃっかりもしていること、といったことが、主人公に関する予備知識がなくても芝居の中に見えてくるのである。それに刺激されたのか、イーサン・ホークも、無口で無骨でときに粗暴でもあるという、これまであまり演じたことのない造形の人物を、むしろ生き生きして演じている。カメラもその2人を大切にして、他の登場人物の出番は最小限、むしろ周辺の雄大な風景と、それと対比される小さな家の中の雑然とした(それでいて妙に暖かい)光景に集中している。実話ではもしかするとサクセスストーリー的な部分もあったのかもしれないが、その辺をばっさりカットしているのも正解。だからこそ、最後のホークの無言芝居が強烈に生きてくる。[良:2票]