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<ネタバレ>あの高橋洋子の、約30年ぶりの映画出演作品!!とそれだけで期待は高まったのですが、やはり、あの役者としての天性の才能も、演出や脚本の腕あってこそ引き出されたものと気づかされただけでした。癌手術を繰り返す夫とアルツハイマーを発症した妻という関係なのですが、一番分からないのは、夫が講演で回想するという設定で全体を構成していることです。結果、各俳優の演技部分については、語りを補助するにすぎない単なる再現映像になってしまっています。また、夫婦関係の描写自体、(関係者を含めて)各人物の頭の中にあることがそのまま語られているだけなので、生活表現になっていません。あと、タイトルにもあるとおり歌を要素にしたかったんだろうけど、それもいくつかのシーンで「ただ歌われているだけ」であって、それが登場人物との人生でどういう意味や関係を有していたのかというところには、踏み込まれていないのだな。