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<ネタバレ>あの原作を二重構造にするなんて収拾つかなくなるだけじゃないのかと思っていたのだが、意外に手際よく整理されていて見やすかったので驚いた。演劇のクライマックスに向けて映画自体もクライマックスを迎えていく高揚感もなかなかでした。しかし、本筋のミステリーはたったあれだけで全部が説明されるだなんて、夏樹静子はよく了承したなあ・・・。●ただ、今から考えると、あの原作は戯曲的な要素があって、そもそも映画よりも舞台向きという気もするので、それを考えると、この構成を考えついた制作者の発想は、慧眼であったといえましょう。●再見して、大事なところで炸裂する長回しとか、劇場の最上席までぎっちり詰まったエキストラとか、暗めの色調で統一されたトーンとか、制作者の気合があちこちにみなぎっているのがよく分かりました。何より、舞台劇を(独立しても成り立ちそうなくらい)きっちり撮っているのが良い。それに先立つオーディションとか配役発表とか読み合わせとか立ち稽古のシーンも入れられているし、本番では舞台裏のメイク替えとかカーテンコールまでしっかり入れているし、また、舞台任せにするのではなくて、その中できちんとカメラが動いている。●ただ、最初の方で静香がオーディションに落ちたとかいって悔しがりますけど、あれだけの応募者から上位2名に入ったんだったら、結果としては大成功の部類ではない?同じ舞台に乗れれば、次の足がかりにもなるわけだし(それすらないのとは全然違う)。ここは、主人公の役者魂という作品のテーマにも関わるところなので、ちょっと気になりました。