<ネタバレ>はたから見れば円満そうに見えるけど、それはまさに「問題がない .. >(続きを読む)
<ネタバレ>はたから見れば円満そうに見えるけど、それはまさに「問題がないことが問題」という台詞の通り、見えない部分ではしっかりとヒビや溝が生まれていた。夫婦であろうと、それぞれが別々の人格を持った違う人間であることは間違いないわけで、見えていると思っていたことも、実際はまったく見えていない。
夫婦という関係だけを切り取った物語は、二人の長年に渡る変化をしっかりと捉えていた。ヨリの長回しが独特でまさに焦点がそこであるということを暗示しているかのようで、すごく面白かった。特に、最初と最後の二人の距離感は外見上まったく変化していないのに、この作品を三時間しっかり見届けた人にはその変化が歴然としている。それはあまりにも違う。10年間夫婦を続け、あまりにも近いところに居て、ぶつかり合うこともなかった二人は互いのことを何も見えていなかった。だけど、夫婦という枠組みから離れ、別々の人生を歩み始めた二人は、その後の10年間何度も正面から洗いざらいぶつかり合っていた。そんな20年間を過ごした二人が辿り着いたラストシーンでのあの姿は、心が通じていたように見える。深読みしすぎかもしれないが、二人の寄り添いあう無言の姿は一つの物体のようにも思えた。言葉を交わさなくとも互いの考えを理解しあえる。そんな二人の姿がとても魅力的だった。