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<ネタバレ>この主人公の目的とはなんだったんだ?ぼくの目には彼が目的なき日常を、そしてそこにある時間をヌキヤ、煙草や酒で浪費し、無駄にしていたように見えるのだが、それが一行に変化する様子がないのが退屈だった。そんな彼に芽生える具体的な目的意識は前田敦子演じる康子を友達にすることであったが、それ自体があまりにも面白くないし、結局は他力本願であったし。それが物語の唯一の魅力として、なんとかこの物語を欠伸がでない水位の作品に留めていたが、それ以外のシーンのなんと退屈なことか。目的意識もなく、傲慢で独り善がりで、面白みが微塵も感じられない彼の全てが、現代的ではあるけれど、そんな人間は勝手にやってろと思わずにいられない。好き勝手にやって、自ら多くを棒に振っている。そんな人間好きになれない。山下監督の演出とあって滑稽な面は豊かに描かれているのは確かだけど、物語はいつまでも曖昧な目的意識のままフワフワとどこに向かうのか定かではない状態で進行する。着いて行く億劫さはもの凄い。所々で魅力的なシーンはあったけど、一本の映画として観た時にこの作品はあまりにも退屈だと思う。なにしろ目的意識がないのだから当然葛藤もない。自分でやって自分で失って勝手に苦しんでいるだけなのだから。ただ、終盤で彼が多くを無くし、無気力状態の最中で見るテレビ画面の奥の夢のような現実に夢中になったシーンからのクライマックスは見応えがあるのは、彼に目的がはっきりと現れたからで、それが具体的に「なにをしたい」という表現はされてはいないものの、確実にそこには変化が描かれている。興味の持続を演出力のみで乗り切った技量は本当に素晴らしいが、根本的に「目的意識のない主人公」というのが大前提としてやはり映画に不向だという事実が大変参考になった。物語が転がり始めたのは最後の10分というのは、興味を持続して観るのは難しい。何もなかった男が目的を見出す話というのはやっぱりつまらない。