ヒッチ先生が渡米しての第1作ってのがポイントである本作。確 .. >(続きを読む)[良:1票]
ヒッチ先生が渡米しての第1作ってのがポイントである本作。確かにセルズニックに遠慮しまくって、随分とお上品にダフネ・デュ=モーリア原作をソツなく纏めた印象は拭い難い。「三十九夜」「バルカン超特急」の天衣無縫な演出ぶりと比較対照すれば一目瞭然である。とは言え、見所が無い訳ではナイ。先ず、英国時代になかなか得られなかった好みのクール・ビューティ(勿論、ジョーン・フォンテーン!)に幸先良く出逢えたコト!!これにより、傑作「断崖」への布石が出来たとも言える。本作でもサスペンス醸成は専らジュディス・アンダーソン演じるダンヴァース夫人の怪演に任せ、彼女(フォンテーン)の美しさを余すところ無く描写する方に寧ろ傾注している様にも思える。その意味でも本作はヒッチ作品数ある中でも特にメロドラマ臭が強く、どうやらその辺が好き嫌いが出てくる所以なのかもしれない。ショットの鮮やかさや細かい伏線の張り方は並みのヘボ監督には到底マネできない上手さだが、個人的にはやや妥協に走った感が深く、ヒッチ先生が(例えオスカー作品賞をゲットしたにせよ)不本意に感じたのも無理からぬことだと思った。余談だが、セルズニックのプレッシャーここに極まれり、といった迷作が「パラダイン夫人の恋」(デビッド・O・セルズニック脚本!?)である。アレはもうセルズニック監督と言っても過言ではない凡作である。ヒッチ先生のフィルモグラフィから外して欲しいなぁ…。オット本作は、フォンテーンの美しさに取り敢えず7点。”一歩前進二歩後退”てな感じ…だな。[良:1票]