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<ネタバレ>とにかく晩年の北川サキを演じる田中絹代が圧巻の名演技!若き日のサキに扮した高橋洋子もまぁ熱演してはいるが、ハッキリ言って全く勝負になっていない。ボルネオでの回想場面と熊本は天草での現在とが対比される形で物語は進むが、天草編が圧倒的にインパクト大なので皮肉な事にバランス崩壊しているかのような印象を受けた。確かに彼女ら”からゆきさん”が遠く異郷の地で身を鬻ぐに至る運命も悲惨ではある。が、何より酷いのはそこまで身を落としても全く報われることなく、人の住む処とは到底思えぬようなあばら家で孤独な老後を送らざるをえないコトではなかろうか。それでいて彼女は笑みを絶やそうとせず、自暴自棄に陥ることもなく気丈に生きている。この余りに悲しくも気高い老女を田中絹代が演じたればこそ、本作はかくも堂々たる佳作の風格を備えることができたと言えよう。老醜を晒すことなく美しい面影を残して銀幕から引退したガルボや原節子のような潔い生き様も決して否定はしない。が、矢張り私は老いてなお演技に情熱を傾けた田中絹代の生き様の方にこそ深く感動を覚える。[良:1票]