<ネタバレ>過激な性描写があってこそ描きうる、切なさ、虚無感、そして人間 .. >(続きを読む)[良:1票]
<ネタバレ>過激な性描写があってこそ描きうる、切なさ、虚無感、そして人間の業に潜む狂気と恐怖。まさにポルノというジャンルの真骨頂。
物語を額面通りに受け取れば、「かつてレイプの現場をブルーフィルム(死語かな)に撮られ、自殺未遂を犯し、今また自分の前に現れた不器用ながらも誠実そうな男に裏切られ、自己破壊的な道を辿る薄倖の女性」。ってことになるのかもしれないけれど、この作品、印象としては、その枠に収まらない「何か」があります。
上述の物語の概要は、あくまで主人公・村木の視点によるものに過ぎない訳で。いや、彼の見ていないところで我々が目撃する彼女の姿からも、「そうかも知れない」と思わせるものがあるのだけど、それはあくまで「かも知れない」に過ぎない訳で。
結局、村木は、そして我々は、自分たちが勝手に描いた幻想に囚われ、苦しんでいるだけなのかも知れない。悲しい運命に絡め取られた女性、という幻影に囚われた、囚われざるを得ない、男の悲しき滑稽さ。残酷なまでの滑稽さ。
中盤の10分以上にわたって繰り広げられる、凄絶なまでの濡れ場シーン。ほとんどホラー、なんだけど見てて切なくもなってくる、人間の弱さ。ラスト、2人の姿を遠くから捉えたショットは、前半の公園のシーンの変奏でもあり、それだけに、もう元には戻れないという感覚が。そして女は、揺らめく水面の幻影の中に消えていく・・・。[良:1票]