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<ネタバレ>以前、飲み会の席で「『セブン』のどこがオモロイねん」という話になって、私は一応、「ホレ、冒頭のクレジットの文字がチロチロしとったやろ、アレが面白かったね」と答えておいたんですけど、今でも実際、そうだと思います。アレは良い(笑)。他の点はどうだろう。“サスペンス映画”のようでいて、あまりサスペンスがある訳でもなく。いや、そりゃま、殺害現場に漂う不気味さは確かにあるんですけれど、コレ、どっちかっていうと「バッチい」という範疇に入る、気味の悪さですよね。そこにハワード・ショアの「ホレここは不気味なシーンなんだよ」とわざわざ教えてくれるような音楽が際限なく流れ続ける。降り続ける雨がもたらす不快感、というのも、まあ気持ちは判るんだけど……。結果的には映画を「ただダークなばかり」の平板なものとしてしまっている面があるように思えちゃう。また、エゲツない殺人事件が描かれる映画で、残酷な場面(バッチい場面とも言う)があるものの、その「残酷な場面」というのは、実際には「被害者はこんな残酷な殺され方をしました」とセリフで説明されるだけだったりするのが、節度と言えば節度、限界と言えば限界。グロ描写に走ってくれとは勿論言わないけれど、コケ脅しのセリフを並べるばかりってのも芸が無い。肝心なところはセリフで描写。この映画から音楽とセリフを消したら、何が残るだろうか? ……アレ、ちょっと待てよ。ラストで「奥さんの首」が入れられたとかいう段ボール箱が出てきたけど、あの段ボール箱の中身もまた、映像で示されることなく、「セリフで説明された」だけ、だったよね。本当に首が入っていたんだろうか。もしも本当は空箱だったとしたら(そして犯人に、退職間近の刑事の共犯がいたとしたら? いやそれこそ、ミルズ以外の警察すべてが犯人の味方だったら)。などと考えると、この映画の「肝心なところはセリフで描写」というのも、なかなか侮れないなあ、と。そうそう、この映画、グロい映画の印象が強い割には、必ずしもグロ描写にばかり走ってはおらず、その代わりといいますか、様々な小道具が頻繁に写されます。特に刃物とか(エイリアン3の解剖シーンも思い出したり)。その「モノ」に対するフェティッシュな感じが映画を貫いていて、これは良いですね。