登場人物は全編通じてほぼ3人のみ、それも、乗っていた船ごと妻 .. >(続きを読む)
登場人物は全編通じてほぼ3人のみ、それも、乗っていた船ごと妻を変質男に連れ去られてしまい、夫は変質男の乗っていたオンボロ船に置き去りにされてしまうので、たった3人の登場人物が2人と1人とに分断されてしまうので、一本の映画に仕上げるのは難しいんじゃないの、と心配になるのですが、そこはノイス監督、さすがの手腕。
こういう状況に陥れば、やるべきことはたくさん有り、その細部を丹念に描く、するとちゃんと映画になる。どうしようもない凪だったものが、嵐まで訪れて、さらに映画を盛り上げます。
変質男を演じるは、我らがビリー・ゼイン様。ビフ・タネンの元でイジワルに磨きをかけただけのことはあって、『タイタニック』ではこの世にここまでイジワルな奴がいるのか?と我々を魅了してくれたビリー様ですが、この作品では、アレ?妙に男前ですね。見ようによってはマーロン・ブランドを彷彿とさせるような。サム・ニールより余程イイ男かもしれん。見損なったぞ、ビリー・ゼイン。
ってのはどうでもよくて、彼と、ニコール・キッドマンと、あと3人以外にも重要な登場人物(?)がいましたね、ワンちゃんとの、三者の駆け引き。サム・ニールは無事ストーリーに絡むことができるのか、それとも哀れ最後まで蚊帳の外に終わるのか、というサスペンス。
登場人物が限られているからこその、密度の高さ。シェーンベルクがブラームスについて述べた通り、まさに倹約は美徳。