透明人間なんていう、「見えないもの」を、映画でどう見せるか。 .. >(続きを読む)
透明人間なんていう、「見えないもの」を、映画でどう見せるか。というところですが、いや実際、透明なんだから、見えなくったっていいじゃないの、というアプローチの作品になっていて、これが功を奏してます。誰かがそこにいるんじゃないのか、という空間、それが映画の中で重要なファクター、というか重要なキャラクターと言ってもよいような役割を果たしています。何かが起こるんじゃなきいか、という、ボヤっとした空間。この雰囲気は、パラノーマル・アクティビティなんかにも繋がるものがありますけれど、ホレ、この通り、別にインチキドキュメンタリ形式にしなくったって、ちゃんと恐怖が成立するのが、本作を観ればよくわかります。
とは言え、何もない空間に対してひたすら怯える演技をし続ける映画、ってのもさすがに昨今、流行らないワケで、随所に取り入れられた特殊効果が、ちょいとドキリとさせるスパイスになってます。
基本は、SFというより、心理サスペンス。見えるものが正しいもの、である以上、見えないものに怯える主人公はすなわち「正しくないもの」であり、彼女は、ひとり追い詰められていくことになる。だけど透明人間がその姿を垣間見せ、見える・見えないの境界が揺らぎ始める時、物語は一気に加速し始めて。で、最終的にはまた「見えるものが正しいもの」へと回帰していく、ちょっと意表を突くラストへ。
今さら透明人間、という先入観を逆手にとった、意外な面白さのある作品でした。