復讐心を胸に抱いた一人の剣闘士が、さまざまな敵との闘いに勝ち .. >(続きを読む)
復讐心を胸に抱いた一人の剣闘士が、さまざまな敵との闘いに勝ち残り、ついにシリーズ最終戦を迎えるというプロレス的サバイバルは、前作で充分に描きつくされ、完結しているので、もうこの後何をやっても蛇足にしかならないのだけど、蛇足には蛇足の味わいがある、というのが続編映画の醍醐味。
前作の後日譚、という位置づけですが、前作の主人公マキシマスからの繋がりを軸に置きつつも全体的には、ローマ帝国自体のその後、その斜陽自体を描いたような作品となっています。今回も一人の剣闘士にスポットを当てつつも、必ずしも前作のマキシマスほどの存在感は示しておらず、どちらかというと群像劇としての性格が強まったようなところがあって。
今作でもド迷惑な皇帝が登場するも、今回は二人に増殖。カラカラ帝・ゲタ帝の時代。映画の中で「悪」を体現する二人だけど、二人であるがゆえに、悪としての求心力よりは、バランスを欠いた危うさを感じさせ、悪よりも「退廃」のムードが濃くなっています。
主人公はローマを呪い、二人の皇帝を呪いつつも、その最大の矛先は自分たちにとって直接の侵略者である将軍アカシウス。主人公とアカシウスとの対立関係、というのがこの物語においても重要な要素となっていて、映画冒頭の戦闘シーンがまさにそれ、スペクタクルとしては最大の見せ場になっているし、中盤の二人の対峙は、わたし個人的には一番盛り上がった場面。
さらにそこに、マクリヌスなる怪しげなオッサンの暗躍が絡んでくる。演じるはデンゼル・ワシントン、かつては優等生的な役を任されることが多かった彼も、こんなタヌキ親父を楽しげに演じる時代になったんだなあ、などと思ったり。ニヤっと笑った顔が、人懐っこいような、しかし腹に一物ありそうな。だけど彼の表情を読ませないような撮影のシーンも多く、謎めいた人物として表に裏に登場し、物語をかき回します。
今回の作品でもまた、主人公がいくつかの闘いに臨む訳ですが、そこに登場するのがどういう訳か、「人間ではないもの」が多く、サルだか宇宙生物だかよくわからんヤツだったり、まるで恐竜みたいなサイであったり、模擬海戦でまるで罰ゲームのネタのように仕込まれたサメであったり。「んなアホな」感があるのもまあ、確かなんですが、動物頼り、ということで、前作ほど人間自体が強くないというか、マッチョ感が薄れた印象があり、こういう部分でも末期的、退廃的なものを感じさせます。
とは言え、混乱の中、ローマ帝国はまだまだ続く。3作目は無い、とは思っているのですが、さて、どうでしょうか。