「海の悪魔」と称され、連合軍から恐れられたドイツ海軍のUボー .. >(続きを読む)
「海の悪魔」と称され、連合軍から恐れられたドイツ海軍のUボートだが、実戦では例外なく過酷な状況下におかれていたと聞く。本作ではその様子が見事に描き出されている。薄暗く澱んだ艦内には陰鬱な雰囲気が漂い、不気味な静寂と併せて「戦場」を実感させる。敵の駆逐艦との戦闘場面の描写は秀逸で、観るものをどんどん息苦しくさせていく。緊張感と閉塞感が存分に表現され、極限状態のサブマリナー達の様相が類を見ないほどリアルに描き出されている。精神的な重圧、戦いにかけるプライド、死への恐怖・・・疲労困憊で憔悴する主人公達に、はからずも感情移入してしまう。困難な任務の後にようやく辿りついた所でのあっけないラストは余りにも悲しく空しい。潜水艦を舞台にした作品は他にも諸々存在するが、本作に比べればどれもストーリー・描写・迫力ともに及ばない。軍記物の中では屈指の一本、もしかしたらマイ・ベストの作品。