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<ネタバレ>マイケル・マンがハッカーであるとかサイバーであるとかそんなことに最後まで執着するひとではないことくらいは当然皆が知っている。クリス・ヘムズワースが釈放された時にタン・ウェイが向ける眼差しをこれでもかとショット割いて描くのは、この映画はこのふたりの映画であるという説明でしかない。その後もマイケル・マンは物語の中心に据えた男女を取り巻く社会の巨大さを空撮やらインサートショットやらで説明し続ける。司法や権限という社会の内部構造という障壁に呑み込まれるふたり。やがてその障壁は外側からこじ開けられる。復讐心と一縷の望みとを抱え、その大きな風穴から外部へと抜け出す。この瞬間の輝く大都会とトワイライトの天空、狭い飛行機の中で抱き合う男と女。ここでもう充分に満足してしまった。マイケル・マンかっこいいって。ただ勿論、映画は続く。外側へ出たふたりであるからこそ、物語はより荒唐無稽さを増し、マイケル・マンの描き方も行動と結果しか描かなくなる。観客は殆どの瞬間でふたりが何をしようとしているのかという点で置いてきぼりを食らうだろうが、それでいい。そしてすべてが集約されるラストだが、これがまたとんでもなく良い。実行ボタンを押すだけで光るマクロな基盤の中を高速で駆け抜ける情報などというサイバーな戦いなど放り出し、松明の炎が揺れる群衆の中を相手を追い掛けて拳銃と刃物で物理的に殺しあう。映像が共振する。復讐譚として最も相応しい。やっぱりマイケル・マン、めっちゃかっこいいっす。[良:1票]