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<ネタバレ>この映画を推理サスペンスとして期待して見ると、物的証拠も自白も無い(本人が記憶喪失)のにそんなに簡単に死刑判決が確定するのか、とか、警察が必死に探したけど見つからなかった証拠品が素人二人にそんなに簡単に見つかるのか(でっち上げではあったのだけど)、とか色々つじつまの合わない点が目に付いてしまって決して納得できるものではない。作った側も真相について映画の中で細かい説明を意図的に省いているようで、一度見ただけでは真相を十分理解できない人もいるのでは。最後にどんでん返しが用意されてはいるもののこの映画は謎解きよりも、心に十字架を背負って苦悩しながら生きる主人公達の姿を切々と描くことに力点をおいているのでしょう。最後の場面の本にはさんだタンポポの押し花が象徴的。設定は現代であるにもかかわらず、何となく昭和30年代の古き良きモノクロ時代を感じさせます。山崎務は相変わらずの好演。反町も普段のイメージとは全く異なる気弱な青年の役をうまくこなしていたことで合格点。しかし、死刑制度や冤罪という重いテーマであることに加え、殺された人たちの方に同情の余地がないことなどから、ハッピーエンドといっても多少のわだかまりは残った。(因縁つけてつかみかかって来た相手を突き飛ばして、偶然相手が転んで死んでしまうと、それが正当防衛ではなく傷害致死になり、遺族から死んで償えと罵倒され、七千万円の慰謝料まで払わされるという設定にはどうしても違和感を感じる)