昔見た記憶ではJ・ドンの踊りだけが強く印象に残っていただけな .. >(続きを読む)
昔見た記憶ではJ・ドンの踊りだけが強く印象に残っていただけなので、こんなに壮大で骨太なドラマだったのかと
初めて見たように感動した。ソ連のバレエダンサー、フランスのユダヤ人音楽家、ドイツの指揮者、アメリカの
ジャズ音楽家と世界中の音楽や踊りに関係した芸術家夫婦たち
の第二次大戦中の話から始まって、20年後、さらに20年後と彼らの人生やその子供達の話へとつながって
いく。同じ俳優がその子供など2、3役をしたり、何家族もの話を平行して描くのでやや分かり辛いところもあるが、
最後にユニセフのパリ慈善コンサートのラベルのボレロでそれらが見事に一つの物語となって完結する。
J・ドンのバレエは神々しいまでに素晴らしいが、それ以外にもふんだんに盛り込まれたバレエやダンス、ジャズやクラシック、
歌などが映画全体を彩る。戦争はこうした芸術を愛し、平和で幸せだった夫婦を引き裂き様々な苦難を強いる。
登場人物も国も多彩なので、戦争がどの国のどんな人にも等しく不幸や悲しみをもたらすというテーマがくっきりと
浮かび上がる。エッフェル塔に高く掲げられた赤十字のマークは平和の象徴、
制作した監督の祈りにも似た戦争のない世界への願いを強く感じさせられる。