ちょっとした笑いはところどころにたくさんあった。そういう意味 .. >(続きを読む)
ちょっとした笑いはところどころにたくさんあった。そういう意味で絶えさせない笑いはあったように思うが、グッとくる笑いがなかった。中盤を過ぎると、「笑ってあげている」感さえあった。三谷映画で僕が一番笑わせられたのは「ラヂオの時間」だ。登場人物の多さ・多様さ、限られた空間と時間のなかの出来事という点で似通ったものがあるが、それで何故こうも面白くないのか。決定的に違っていることがあった。「ラヂオの時間」ではそれぞれにドラマを描きながらも、最後の終着点は皆が同じで、その点に向かって集約していく中で、一つのドラマとして映画が完結できるものだった。ところがこの映画は、一つのドラマとはどうしたって言えない。短編をいっぺんに見せられたようだ。終着は点ではなく線で、それぞれでそこに行き着きました、はい終わり。なにか薄っぺらだった。今度は嫌が応にも「笑わせられる」映画を期待したい。