コメディと言われればコメディタッチではあるのだが、それは人生 .. >(続きを読む)
コメディと言われればコメディタッチではあるのだが、それは人生の首根っこを巨大な何者か(軍、権力、貧しさ、etc)に押さえつけられている彼らの、表層的な明るさというかヤケというか、刹那的にでも楽しまなくちゃやってられないじゃないか、という土台の上での悲しい笑いだ。
ジャック・ニコルソン演じるバッド・アスの立ち位置は、「グリーンマイル」のトム・ハンクス演じるポールと同じだ。しかし、バッド・アスは自分にできる精一杯を冤罪の少年にしてやるのに比べ、ポールは冤罪の死刑囚に同情して泣くしかせず、ワタシは観賞中に非常に苛立ったものだ。しかしバッド・アスは、反抗すること、楽しむこと、怒ること、他人に要求すること、それらを自分のやり方で少年に教えていく。最後にはナゼか感動するいい話にまとめてしまった「グリーンマイル」に比べ、「冬のかもめ」はラストも非常にリアル、そしてライト。ライトといっても、理不尽がまかり通るのが世の中である、というやりきれない共通認識と諦めがある上でのライトなので、それがまたリアルなのだと思う。
ポールは誰にでもできる役だが、バッド・アスはジャック・ニコルソン以外にはできないだろう。精悍で野性味にあふれた若い頃の彼を観れて、非常によかった。
タイトルのかもめ…というのは、水兵さんの事か。
水兵さんの制服がセーラーカラーの元祖とはいえ、セーラー服といえば女子中高生、という刷り込みのある日本人のワタクシには、最初微妙な違和感が。
私自身も中学はセーラー服だったが…今考えても意味のわからない制服だ。軍服を制服にするなんて、考えてみればヒジョーに危ないのではないだろうか。