佐分利信は間に合わない。集合写真、父の死に目、一周忌、ことご .. >(続きを読む)
佐分利信は間に合わない。集合写真、父の死に目、一周忌、ことごとく遅れて登場する、規格外の服で。世間体に背を向けるかのようなアウトローといえば言い過ぎだが、そんな振る舞いが、バッサリと身内を、世間を断罪する。そんな必殺シリーズのような構造ですが、この作品は手の動きの細やかさが楽しい。高峰三枝子がエプロンを叩きつけた後にそれを撫でる、エプロンの裾をつかんで人を迎える、糸をお手玉のようにして遊ぶ、孫がおばあちゃんの手を取る、ライターや扇子を触りながら話をする男たち、縫い物に勤しむ女たち。手は口ほどに物を言う。