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<ネタバレ>テクノロジー的にも人道的にもトンデモねぇ人体実験の末にガス人間にされた男・水野と、よりによってそのガス人間に見初められてしまった日舞の家元・藤千代を中心とした、愛憎空想活劇。
先ずガス人間の特性を活かし日毎「銀行強盗」に明け暮れ、没落家元の藤千代に融資するというガス人間・水野の歪んだ愛情と、その愛情に次第に絆されていくも、日舞への情熱をぶりぶりと募らせる藤千代。
この重なら無さそうで惹かれ合う二点が、やがて悲哀に満ちた合致の末に、非業な末期を遂げる。
さて、私はこのガス人間こと水野氏が、いけ好かない。夢半ばで挫折した青春時代という経緯を慮っても、大胆不敵であり、傲慢。
さて、春日流家元こと藤千代もまた、いけ好かない。芸術家であり、野心家でもある藤千代は、水野の献身に胡坐をかくかのように融資された先から金にモノを言わせるように「発表会成功」へと足場を固める。出所の不確かな融資を受けた昨日の今日で、新車まであつらえるかフツー?
しかし、そんな腐ったガス臭のする独り善がりなガス人間・水野と、さすがに零落しているとはいえ家元としての発表会にまで漕ぎ着けた藤千代の火のような生き様が、ラストで一つに重なってしまった。
そりゃ、周りの応援(UMガス)も手伝ってか、大炎上必至。
いやぁ、ガス人間的にはハッピーエンドですなぁ…?と思ったが、ラストのガス人間の有様をみれば「それはどうなんだろうか」と言わざるを得ない。悔い無き終生だったとは到底言えない、おどろおどろしい死に様でした。
これは、藤千代の一人勝ちですね。老鼓師(左卜全)の「やり切った」感も、カッコイイ。