<ネタバレ> しかしまた骨太な映画を作ったものです.これをみたとき,「カ .. >(続きを読む)
<ネタバレ> しかしまた骨太な映画を作ったものです.これをみたとき,「カッコーの巣の上で」を思い出しました.人間の尊厳とは?人が生きる意味とは?いままでたくさんの映画がこのテーマに果敢に挑み,ある者は成功しあるものは敗北しました.このテーマを描くには,いろんな演出や技巧が必要とされる,それにご都合主義的によい者は報われるし,悪者はその報いを受ける,そういうもんだ,と僕も思ってました.
でもこの作品は,人間に尊厳なんてもともとないし,生きること自体に本来意味なんてない.因果応報なんてことはなく,人間ただ生きるという事実があるのみだということを強烈に思い知らされる,そんな映画です.映画としてそれがいいかどうかはわからない,誰がこの映画を見て楽しめるんでしょうかね?
しかしやはり,現実とはこういう悲惨で陰惨でまったく救いもないことが平気で起こるからこそ,尊厳を感じ,生きることに意味を見いだせることがいかに現実の中で輝くのか,貴重であるか噛み締めることができるのでしょう.