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<ネタバレ>有楽町で観たついでに皇居まで足を伸ばしたが、特に見るべきものはなかった。我が国の皇室もこのくらいはちゃけた姿を見せてくれた方が断然面白いのだが、まだまだ先になりそうだ。元々イギリスは市民革命の発祥国であり、王室の存在が、伝統と国民感情の微妙なバランスの上に成り立っているという事実を、改めて思い知らされる。国家と王室の危機を乗り切った、女王と首相の対応は見事と言うべきであろう。逆に保守党の首相であれば、あそこまで世論に迎合した対応はできなかったかもしれない。政治とは摩訶不思議である。この二人に比べて、周囲の人々がボロクソに描かれているのが面白い。女王の孤独と威厳を、あくまでスマートかつハートフルに描いたイギリス映画界(とイギリス人)の心意気は確かに素晴らしい。しかしそれ以上に私としては、毒舌の応酬と、威厳に満ちた野生の鹿を、一転して断頭台の象徴に仕立てあげる、ダークサイド表現に感銘を受けた。最後にレヴューついでに薀蓄を一つ。ラストで女王と首相が歩いているのは、ワデスドン・マナーの庭園で、かつてのロスチャイルド邸である。現在はナショナル・トラストが管理している。