一攫千金を夢見る犯罪者や銀行強盗を「倒錯したアメリカンドリー .. >(続きを読む)
一攫千金を夢見る犯罪者や銀行強盗を「倒錯したアメリカンドリームの一形態」と表現したのは、一体誰であったか?しかしたとえ倒錯したものであったとしても、それがアメリカンドリームであることに変わりはない。当時でさえ、というのはつまり、劇中の西部開拓時代と映画が製作された七十年代にしてすでに、ブッチとサンダンスの二人はボリビアに逃亡しなければならなかった。そして壮絶な最期?どちらかというとバート・バカラックは苦手なのだが、彼の音楽が作品の雰囲気を、殺伐とした西部劇から、おしゃれな犯罪映画に塗り替たことは認めざるを得ない。21世紀となり、ヴェトナム戦争も反戦運動も完全に過去のものとなった現在のこの時代に、この作品を観る者が一体どれだけこの主役の二人に、手離しで共感できるのか定かではない。しかし彼ら二人の生き方は、現在でも十分魅力的には違いない。時代に取り残されても迎合することを拒み、自ら滅びいく自由な魂の何と美しいことか。そして時代に対する鋭敏なセンスは、普遍性をも獲得する。むしろ今の時代だからこそ、ぜひ若い人たちに観てほしい作品である。