明の澄んだ瞳も、京子の芯の強そうなところも、茂の無邪気さも、 .. >(続きを読む)[良:1票]
明の澄んだ瞳も、京子の芯の強そうなところも、茂の無邪気さも、ゆきの純真さも、すべて製作サイドの狙い通りのキャスティングなのだから、こうならなければそれこそ嘘だろう。現実がどうであったかはともかく、悲惨さを強調しなかったことは映画としては正解なのだと思う。けれど、やはりこの作品を映画として評価するのは難しい。途中、吐き気がするほど辛い気持ちになったのは、あまりにもドラマ性のない演出のせいだし、何より劇中に出てくる無責任きわまりない大人達のせいだから。でも、多分、程度の差こそあれ、こういう無責任な大人は確実に増えている。パチンコ屋の駐車場で車の中から明にあかんべえをした男の子だって、明日は我が身かもしれない。一緒にゆきの亡骸を羽田まで運んでくれる女子高生にしても、外泊も不登校も親は気付いてもいないのだろうか。もちろん自分とて、子供から離れて無性にひとりになりたい時があったりする。でも、できない。できなくていいと思っている。是枝監督はずるい。この映画を撮った責任をどうするつもりなのだろう。ぜひ次回作はドラチックな作品で私たちを唸らせてほしい。[良:1票]