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これがマフィアの真実とは決して思わない。政治家や金融巨大資本、防諜機関などとの癒着などについてはほとんど触れられていない以上、ここで描かれていることを素直に信じろという方が無理というものだ。しかし、そのような大人気ない拘りを捨て、ひとつの映画作品としてみると実に味わい深く余韻が後を引く。マフィアの初代ボスを神格化して描くことに疑問がないわけではないが、カリスマ的な父ビト・コルレオ-ネから計算高い息子マイケルに実権が移っていく過程で、神話のような世界が急速に現実の混沌とした醜い世界に変貌する様は、あたかも堕天使ルシファーの転落を想像させる。コッポラはハリウッドのお偉方からいろいろとプレッシャーをかけられ、しかも資金がなかなか集まらないという悪条件のなかで、よくぞこのようなレベルの高い映画を完成させたものだ。その執念に敬意を表したい。