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<ネタバレ>冒頭の「腫瘍」ってとこで手塚治虫『ブラック・ジャック』のピノコが即座に浮かんだ人が多いでしょうね。双子を妊娠したものの片方が上手く育たず母体に吸収されるコトを「バニシング・ツイン」といい、吸収されずにもう片方の胎児へ宿るケースもまれにあるそうで「寄生性双生児」として時々ニュースになりますが人体って不思議ですよね。 今回の話は悪性腫瘍を切除すると意気込んだのはいいが脳に食い込んでるからとそっ閉じする雑さのせいで妊娠のたびに養分を吸い取って流産させるなど生き続け、夫のDVの衝撃で完全に目覚め宿主であるマディソンを支配し、かつて自分を葬ろうとした医者連中にお礼参りをしていたという怖い話。夢の中で見たと思っていた殺人が全て文字通り表裏一体の存在による行為で現場で自分が見ていたコトだったのも面白かった。周囲がドロドロと溶け変わり現実と幻想を混濁させ殺人体験を共有させる演出も上手かったですね。幼少の頃に空想の友達を創って遊ぶのはよくある話ですが大抵は心霊系だったしコッチ系に仕上げるのはなかったな。因縁の医者が受賞したトロフィーを持ち帰り、工房でせっせと自作の凶器に作り変えてたり、黒の革手袋をハメてロン毛で黒のロングコートでバシッとスタイリッシュにキメてたりと可愛くもあったな。マディソンを抑えて表に出て来た裏側の存在ガブリエルの逆関節のようだった奇妙な動きも納得出来ましたが、キレキレのアクションで華麗に舞い仕留める動きは下手なアクション映画よりよっぽど殺陣が上手いし美しかった。最後にはただの血の繋がりより献身的に姉を支えようとする妹との姉妹愛を見せるのも良かったです。カメラワークや音楽も良かったし、影響を受けたであろうアルジェントやデ・パルマやクローネンバーグ風な作りを見せつつ昇華して新たな世界を創り出すジェームズ・ワンはさすがだなと思いました。[良:1票]