<ネタバレ>原作も知らず前知識なしでみたのだけど
大作と銘打っている割 .. >(続きを読む)
<ネタバレ>原作も知らず前知識なしでみたのだけど
大作と銘打っている割に、せせこましい感が冒頭から抜けなかった。
たぶん、軍事サスペンス大作という割りに、俯瞰した視点が抜けているからだろう。
核を搭載したアメリカ軍のステルス戦闘機が、亡国の工作員によって爆破される。
墜落したステルスをさらに爆破しようとする亡国工作員(自衛隊も近づけない雪山になぜかうじゃうじゃいる)
様子見のアメリカ。
ここら辺の力関係とか国際情勢とかが、ほとんど語られない。たぶん社会派サスペンスという位置づけではないのだろう。
事件にかかわるフリーカメラマンとその後輩の新聞記者、単独で動く自衛隊員、雑誌記者それぞれの視点から事件を立体的に追うのだが
それぞれの人間ドラマの描き方も散漫になってしまい、どこに力を入れているのかよくわからない。
だがそんな欠点を抱えながらも、ドラマは終盤に向かってなかなかの盛り上がりを見せる。ステルスを工作員から死守する三人の男たちのキャラクターと演技が一応の説得力を持っているのだ。ここらあたり、一人ひとりをクローズアップしてからのクライマックスに、余計な音楽がないのも抑制が効いている。静かな山の中で逃げ場を失う三人の恐怖と戸惑い(担当は新聞記者落合)決断(カメラマン西崎)勇気と男気(自衛隊員佐伯)等々、ベタながら見せてくれるし泣かせてもくれる。雑誌記者の竹内結子、総理大臣の藤竜也、皆いい演技で見せてくれる。ラストもあんな終わり方でありながら後味は悪くない。
全体にバランスは欠いているが、伝わるものがないではない。たぶんこれは役者のがんばりによるものだろう。
抱え込んで生かせなかったものの多さは残念だが、こちらに残るものは悪いものでもなかった。エンドロールの音楽と映像もよい。
出来はともかく個人的に嫌いな映画ではないのでとりあえず7点献上。