フェリーニの幼い頃の思い出を映像化した作品。しかし、思い出で .. >(続きを読む)
フェリーニの幼い頃の思い出を映像化した作品。しかし、思い出ではあるがノンフィクションではないのである。幼い頃の田舎町(フェリーニの地元はリミニ)で行われていた非日常空間というべき祝祭。普段の日常生活を外れて年に一回か二回、皆で歌って飲んで盛り上がる忘れがたい行事だ。記録としては年に数回程度のものだが、フェリーニ少年の記憶にはそれが思い出のほとんどを占めているのでしょう。だからこそ、アマルコルドにおいては、普通の生活ですら祝祭的空間へと変容している。映画全体が祝祭の場なのだ。そういった意味ではこの映画はフィクションであると言える。だから、アマルコルドというスラングを使い題名の意味を分かりにくくしているのでないかと思う。こういった芸当はフェリーニだからこそできるものではないか。高い想像力と発想力、そして、社会風刺、こういった要素を持つフェリーニの映画はほんとに素晴らしく、自分を捕らえて離さないのである。 ニーノ・ロータの音楽も哀愁を誘い、フェリーニ映画の屋台骨となっており、この映画の雰囲気を高めている点も素晴らしい。