もう10年以上前のことなので白状するが、中学生の頃、自室での .. >(続きを読む)
もう10年以上前のことなので白状するが、中学生の頃、自室での勉強の合間の気晴らしで、窓から見える公園の様子を双眼鏡で眺めていたことがある。
住宅地の中の何の変哲もない公園なので、特に何があるということでは無かったが、それでもいろいろな人がいろいろな表情で過ごす様を“覗き見”することは、大きな声では言えないが好奇心をかき立てられた。
詰まるところ、この映画は、そういう誰しもが持つちょっとした「好奇心」を、仰々しく膨らませたサスペンスなのだと思った。
窓から見える近隣住人に対してふと生まれた「疑念」。それが主人公の中でどんどん膨れ上がって、自らを「危機」に運んでいく。
彼の「疑念」は正しいのか、間違っているのか。このサスペンスのハイライトはまさにその部分で、観客はその狭間で揺さぶられる。
アルフレッド・ヒッチッコックの「名作」との誉れ高い作品なので、期待感は強かった。
ヒッチコック独特の心理上ので緊迫感は流石だと思った。
ただし、「結末」については、他の同監督作品と同様に”物足りなさ”を感じた。
もう60年近く前の映画なので、一概に現在の価値観ではかるべきではないとは思う。
映画の手法としてこの映画が確立しているものの価値は揺るがないだろう。
しかし、ラストもう「一転」させてくれないと、現在の映画ファンは納得できない。