<ネタバレ>世界のすべてを手に入れ、そしてそのすべてを失った男の一生。 .. >(続きを読む)
<ネタバレ>世界のすべてを手に入れ、そしてそのすべてを失った男の一生。
でも、本当は、“そり”で遊んだあの雪の日から、彼は何も得ていなかった。
時と共に益々深まる喪失感を、ありとあらゆる欲望で埋め尽くそうとする日々を妄信的に過ごした男の悲しい生涯。
主人公が残した「薔薇のつぼみ」という謎めいた一言が持つ真意を、彼の人生を追想するようにこの映画は綴られるが、結局、そんな真意など意味は無いという結論で、物語は締められる(※真意が判明しないという意味ではない)。
その映画の結末も、あまりに冷ややかで、シビアだ。
パンフォーカスの活用方法、ストーリーテリングの“斬新さ”など、映画表現としての発明の数々は、この古い映画を違和感無く観られていることに気づいた時にこそハッとさせられる。
その革新的な映画表現を駆使した絶大なる監督力のみならず、類まれな主人公の生涯を自分自身で演じきってもいる若きオーソン・ウェルズの映画人としての「才気」は、チャールズ・フォスター・ケーンという映画上のキャラクターを超えて溢れ出ているようだった。
人間の普遍的な孤独を描ききった類まれなる映画作品であり、その映画史的な価値の高さを否定する余地は全くない。
ただ、ひたすらに眠かったけどね。