スペイン独特の「熱情」を礎に、ひたすらに密度の濃い人間模様を .. >(続きを読む)
スペイン独特の「熱情」を礎に、ひたすらに密度の濃い人間模様を映画世界に吹き込んでいくペドロ・アルモドバル監督の最新作。
スペインの宝石であり、アルモドバル監督の秘蔵っ子でもあるペネロペ・クルスが、何をおいてもスゴイ。
円熟味を増した美貌と女優としての存在感が、強烈なまでに溢れ出し、ただ画面に映し出されるだけで、映画の世界と観客を支配してみせる。
彼女は、間違いなく今女優としての最盛期を迎えている。そのタイミングで主演した今作が彼女の代表作の一つになることも、間違いないだろう。
母親として、妻として、そして娘として、「女性」であるが故の本質的な苦悩と本能を、辛辣で際どいテーマをもってぐいぐいと物語っていく。
女としての弱さと強さ。生きることに対する強かさと儚さ。
そういう激動する感情を、ひとりの「女性」そのものの存在で伝えてくる。
ただ、ストーリーの展開に対してあまりにテーマ重々し過ぎるというか、バランスが悪い印象も受けた。
主人公らが背負う運命にあまり説得力がなく、重い十字架を無理矢理背負わされているという違和感が残る。
そういう部分が、もうひとつドラマとして入り込めなかった要因だろう。