“つみきのいえ”で、老人がひとり生活している。
パイプをふ .. >(続きを読む)
“つみきのいえ”で、老人がひとり生活している。
パイプをふかし、魚を釣って、日に日に増える水かさから避けるために、また“いえ”を積み重ねていく。
積み重ねていくほどに、住まうスペースは狭小化していくけれど、彼はただ淡々と生活を続ける。
この世界で何があったのだろう。この老人はどんな人生を送ってきたのだろう。
極めて短い映画世界の中で観客は思いを巡らせる。
この優れた短編アニメーションは、限られた世界観の中で、無限の想像を観ている者それぞれに与えてくれる。
水の中に沈んでしまった過去に郷愁を覚えつつ、限られた時間の未来に向けて、老人は淡々と積み上げる。
過去を思いつつ、彼が積み上げているものは、悲しみだろうか、喜びだろうか。
観る人によって、老人の表情は、無表情にも、憂いているようにも、微笑んでいるようにも見えるだろう。