<ネタバレ>終末戦争の果て、確実に「滅亡」に突き進む顛末を描きながら、こ .. >(続きを読む)[良:2票]
<ネタバレ>終末戦争の果て、確実に「滅亡」に突き進む顛末を描きながら、この映画では、爆弾が爆発するシーンも無ければ、人が絶命するシーンすら無い。
残された人間たちの、“最後の時”を迎えるまでの僅かな日々を、淡々と描き連ねる。
「悲劇」に対する悲壮感も、感動も努めて排除されているように思う。
だからこそ、異様とも言える「恐怖」をひしひしと感じる。
この映画に“救い”は無い。
核戦争により滅亡を決定づけられた人類。かろうじて直接的な被害を逃れたオーストラリアにて、残された日々を生きている。
すがるように追い求める幾つかの「希望」は、次々と儚く崩れさっていき、全世界を覆い尽くそうとしている放射能汚染により、着実に滅亡に突き進んでいる。
「希望」を失った人類たちに残された道は、ただただ淡々と“その時”まで生きること。
その人間模様をそのまま淡々と描き、ラスト、無人となった街のカットで締める潔さに、映画としての多大な説得力と、テーマに対する真摯さを感じた。
冷戦の最中、核の脅威を描いた幾つかの名作に共通することは、決して安直なハッピーエンドを描かないことだ。
人類が直面する「危機」に対して、極めて真剣に問題提起を試みている結果だと思う。
今、そういう映画はほとんど無い。
冷戦という時代背景はもちろん過去のものだが、だからと言って、“脅威”が消え去ったわけでは決してない。
今日のニュースでも“となり”の国の半島で起こった「愚行」を延々と伝えている。
“脅威”に対する危機感の薄れ。
そのことこそが、今の時代に最も恐怖すべきことのような気がしてならない。[良:2票]