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ああ、もうしかしたらこうなるのかもな。こうなったら面白いな。
と、卓越したサスペンスの中で、その先の用意されているだろう「顛末」に期待が大いに膨らんでいく。
しかし、ストーリーは想定外に”ストレート”に展開し、“ストン”と終わってしまう。
アルフレッド・ヒッチッコックの作品を観ていると、決まってそういう感想を抱いて、「これでおわり?」と思いながらエンディングを迎える。
残念ながら、この作品もその例に漏れなかった。
ある幸福な家族が北アフリカでの旅の途中、「陰謀」に巻き込まれる。
最愛の息子をさらわれ、誰も信じられない状況の中、夫婦は自分たちのみで息子の奪還に挑む。
映画は北アフリカの情緒感の中から始まり、「何が起こっているのか?」というミステリアスな導入部分から途端にトラブルに放り込まれる感覚は、上質な緊迫感に溢れていたと思う。
ただやっぱりストーリーの展開に面白味が無い。
主人公たちがバタバタとトラブルに巻き込まれるばかりで、意外性や衝撃性がまるでない。
逆に、無駄にぐだぐだとした惰性のシーンばかりが目についてしまう。
五十数年前の映画に、現在でも通用するような“驚き”の提供を期待することは酷なことかもしれない。
でも、それが映画史を代表するサスペンスの巨匠の映画というのであれば、やはり期待はしてしまう。