面白い映画だったとは思う。ただその面白さはすべてにおいて「想 .. >(続きを読む)
面白い映画だったとは思う。ただその面白さはすべてにおいて「想定内」だった。
「猿の惑星」というSF映画が好きだからこそ、自分の"想定”を少しも超えてくれなかったことが、最終的な不満足に繋がったように思う。
詰まるところ、この稀代のSF映画を題材にした最新作を迎えるにあたり、個人的に最も欲したものは“驚き”だった。
それは何も1968年製作の第一作「猿の惑星」で、チャールトン・ヘストンが号叫した"あのラストシーン”を超えるものを見せろという無理難題を言いたいのではない。
多少強引でも良いので、「SF映画」の名の下において観客の想像を覆す試みに挑んでほしかったということだ。
おそらく、この最新作に対する是非は、第一作目の「猿の惑星」に対してのスタンスではなく、その後に作られたシリーズ作に対するスタンスによって大いに左右されると思う。
旧シリーズの第一作目しか観ていなかったり、第二作目以降に対しては完全な酷評しか覚えなかった人たちにとっては、今作は往年のSF映画の傑作の「起源」を瑞々しく描いた快作として映るのだろう。
しかし、第一作目はもちろん大傑作として認めつつ、その後のシリーズ4作品も優れたSF映画シリーズとして愛着を持ってしまった者にとっては、今作はSF映画というよりも捻りの乏しいアニマル映画に映ってしまったと思う。
僕はもちろん後者のスタンスで、この映画を観終えてしまった。
冒頭に記したように、決して面白くない映画ではないと思う。
ただ、ストーリー展開自体に、オリジナル作品に垣間見えるシニカルさが無く真っ当過ぎた。
そのことが、結局のところ人間側に対しても猿側に対しても、感情移入も批判もし辛くしてしまっている。
結果、期待したラストシーンが酷く中途半端に見えて仕方がなかった。