この映画を観て、「家族」という関係性において、その在り方に正 .. >(続きを読む)[良:1票]
この映画を観て、「家族」という関係性において、その在り方に正解も不正解もきっとないのだろうということを思った。
「家族ゲーム」という映画タイトルの中で描き出される一つの家族。次男の高校受験を目前にして、家族皆が盲目的な”理想”を掲げて、混沌としている。
その混沌とした家族風景が、不幸かというと、決してそんなことはない。
食卓に横並びになって、互いに顔を合わせることのない会話をしながら、淡々と食事をする風景は、この家族の姿を如実に表しているのだが、その味気ない風景にさえ、この家族の切れることない繋がりを感じる。
それは、どんなに窮屈で、居心地が悪くても、それでも互いに寄り添って食事を続けるしかない、という家族そのものの「宿命」とも言えるものかもしれない。
たぶんそれは、実際とても幸福なことなのだろう。
この映画は、混乱する家族像を描きながら、それでも見え隠れする繋がりの強さと、繋がりが強いからこそ生じる“滑稽さ”を、抜群のユーモアセンスで表現した作品なのだと思う。
やはり何と言っても、松田優作が素晴らしい。
コミュニケーションが苦手な家族の中に家庭教師として突如現れ、その関係性を好き勝手にかき混ぜる飄々とした姿は、彼ならではの「表現」だった。ラスト、半ば意味不明に“キレる”様も、松田優作という表現者の真骨頂だったのではないかと思う。
おそらく、見れば見る程に、味わいが変わり、深まる映画だと思う。[良:1票]