当たり前のことだが、人の価値観は様々で、その思惑や行動はその .. >(続きを読む)
当たり前のことだが、人の価値観は様々で、その思惑や行動はその人によって違う。それなのに、それらすべてを社会というたったひとつの価値観で裁かなければならないという現実は、どうしようもないことだけれど非常に愚かなことなのかもしれない。行き着く先を見出せない真実に対する“こたえ”が登場人物らの脳裏を静かに渦巻く。と、物語のテーマ性自体は濃厚であるけど、映画としてはどこか稚拙だ。テーマに対してストレートに描き出そうとする試みは分かるが、工夫のない演出と映画つくりをするには俳優陣の力がやや不足していたように思う。特に誰が悪いというわけではないが、一言で言えば全体的に華がないということになるだろうか。ベストセラーの原作は読んでいないが、おそらくは原作以上のものはこの映画にはないのだろう。感動はするが、その感動が後には残らず次第に薄れていく。