初めて映画館で見た時、見終わった後、しばらく立てなかった。感 .. >(続きを読む)
初めて映画館で見た時、見終わった後、しばらく立てなかった。感動して泣くとかなんてレベルではない。
なにか、とんでもない物を見たという感じ。
ある侍の1日を描こうとしていたのが資料不足から頓挫、日本の剣豪列伝になり、それもボツ。
黒澤監督が「武者修行って何だったんだろう?」と呟き、やがて室町から戦国時代は野武士、野盗の類が跋扈し
村を襲って略奪することがあり、治安が悪かった。だから、そういう村へ行って寝ずの番をする覚悟があれば
腹いっぱい飯を食わせてくれて翌朝干飯を与えて送り出してくれたという古文書の記録から、この奇跡のような映画が動き出した。
時代劇、アクション、悲劇、喜劇、人間ドラマ、群像劇、ラブロマンス・・・・映画のすべてが詰まっていて、そして何よりも
エンターテイメントとして完璧。面白くないわけがない。
侍と農民の溝もキチンと描かれ、武士、農民の双方への尊敬だけでなく批判もちゃんと描かれている。
1回2回はただただ面白く、あれよあれよと見てしまうが、見返すとキャメラワークの凄さがまさまざとわかる。
人物と人物が被る場面がワンカットもないことの凄さ。それを望遠でやってることの凄さ。
侍と農民がとる作戦、勘兵衛の「守るだけでは城はもたん。いい城には必ず隙がある」と言う言葉の通り
わざと弱点を野武士に教えるという作戦は、表敬訪問に黒澤を訪ねてきた自衛隊の幹部が「アメリカの作戦要務令とまったく同じ内容で
作戦として完璧。実戦で使えます」と驚いたリアリティの見事さ。
神様が作らせたような世界に日本が誇る大傑作。