クレアを憎悪から殺害したり、自分の苦しみを理解させるために夫 .. >(続きを読む)
クレアを憎悪から殺害したり、自分の苦しみを理解させるために夫と子供を殺害するといった単純復讐劇と一線を画す、ヒッチコックを彷彿させる一級サイコサスペンスだと思う(カーティス・ハンソン監督はヒッチコックを意識してるだろうけど)。自分から幸福を奪った憎しみだけでなく、満たされることのない母性愛が屈折してしまい、あのような復讐にペートンを駆り立てたのだろう。彼女の復讐は計画的かつ陰湿だが、赤ん坊に母乳を与えているシーンや最後まで子供二人を攻撃することはないペートンなどを見ると、遣り切れない思いがする。その姿が彼女のあるべき形のように思えてしまい、良妻賢母になったであろう彼女を復讐の鬼に変えてしまった不条理な現実に暗澹たる気持ちにさせられてしまうのだ。クレアを心理的に追い詰めていく過程も秀逸で、男の自分には解らない母性愛が持つ底力のようなものを感じさせれた秀作です。<蛇足>女性(特に母親の人)が観たら、どんな感想を持つんだろうと感じる映画でもありました。