<ネタバレ>ソナタを聴いたから主人公が「いいひと」になったという見方をし .. >(続きを読む)[良:3票]
<ネタバレ>ソナタを聴いたから主人公が「いいひと」になったという見方をしてしまうのは、やはり邦題のせいかもしれません。なぜ主人公がかわったのか?色々な意見があって、大変興味ぶかく読ませていただきましたが、やはり主人公は、盗聴という手段で、他人の生活を聴くことによって変わっていったのだと思います。そういう意味では「他人の生活」という原題のほうが、主人公の心変わりを理解するのには適していると思います。「他人の生活」を聴く前までの主人公は「孤独」の感覚が麻痺していたのでしょう。ゲーテの格言に「誰一人知る人もない人ごみの中をかき分けて行く時ほど、痛切に孤独を感じるときはない」という言葉があります。しーんとした部屋の中で1人ぼっちでいても孤独は感じないものです。それよりも、騒音というのは、1人ぼっちの人間にとっては、恐ろしい孤独を与えるのです!「1人」では孤独は感じません。「人々」のなかに存在する1個の自分を確認したときに、孤独というものは気がつくものなんです。主人公は気がついたのです。気がついたときに、人はどう変わるのか?悪いほうに変わるとすればそれは嫉妬です。じつは主人公の行動は紙一重だったのかもしれません。もしかすると、濃密な人間関係を見せられた主人公は激しく嫉妬して、あの男女を破滅させようとしたかもしれません。だけど彼は、あまりにも自分とはかけはなれている他人の生活に、純粋に羨望を抱いたのだと思う。それでもなぜ主人公が劇的に変わったかわからない場合は、映画を思い浮かべればいいと思います・・・。映画を見ることも「他人の生活」を見ることなんです。この話は監視国家の恐ろしさなんて本当はどうでもよくて、人が変わることの意味を問いかけた究極のヒューマンドラマではないでしょうか。[良:3票]