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<ネタバレ>ダイハードのマクレーン刑事を思い出した。警察は基本的に犯人の要求に従おうとする。特に日本はそうだ。なのにアメリカは違う。人命を尊重し、犯人の要求に従おうとすると、なぜかその行動はテロリストのいいなりだ、弱腰だ、というスタンスで描かれてしまう。そんな弱腰の組織に対しあのバカ者のマクレーン刑事は「テロに屈するな!」とほざいて孤軍奮闘する。そしてテロリストを叩きのめす。そのおかげで人質は殺されまくりだ。飛行機の大爆発なんて人質の乗客が何百人死んでいるんだよ。この映画、じつはその「人質」たちの声を代弁した物語になっている。正義の理不尽さを描いているだけなのだ。その人質の1人はこう言う。おまえらが正義を実行するのは構わないが、殺されるこっちの立場にもなってくれ、頼むから身代金を払ってくれと。あぁ・・でもそれじゃ正義はカタルシスを得ることができないし、観客も満足できないのだ。監督の言いたいことはよく分かる。名もなきトラックの運転手が殺されたという事実。そんな事実は正義のヒーローが悪を倒したあとでは、歓喜の声でかき消されて忘れ去られてしまう。むしろ、名もなき人質が悪人に殺されたほうがモチベーションが上がる。最後にテロ人質対策のオジサンが「ごめん・・救出場所を間違えちゃった」と平謝りしていたが、しかしこの後、彼は仇討ちを行う。むしろ仇討ちを行うことのために人質とは死ななくてはいけない暗黙のルールがある。そして救出者が悪を倒す英雄へと変わるのだ。英雄は歓喜の声をあげ、こう叫ぶ。正義は勝つ!! 運転手はどうしても死ななくてはいけなかった。でなければこの漆黒のメッセージは成立しなかったのだ。こういう映画、たまらなく好きだ。