<ネタバレ>妻を刺し殺した夫と、肉欲に溺れて自殺未遂を起した不倫女の「再 .. >(続きを読む)
<ネタバレ>妻を刺し殺した夫と、肉欲に溺れて自殺未遂を起した不倫女の「再生」の物語です。私は、罪を抱えた人間が再生していく物語が好きです。だからこの映画の「再生」というテーマには当然のごとく惹かれます。嫉妬により妻を刺し殺した男は、人間不信になり、物言わぬうなぎだけにしか心を開かないようになってしまいますが、その男が床屋を開業しようという発想はかなり笑えます。 このセンスの良さは買います。 そして刑務所で知り合った柄本明が扮する高崎は、主人公が作り出した幻想だったと考えても良いのではないかと思います。 つまり、主人公がなぜ妻を殺したのか?ということを延々と語り続けさせるために高崎は必要だったのです。 「自問自答」という自分の内面と向き合って行う行為を、劇的に読者に魅せようとする手法は日本の映画にはあまりないようですが、それを見事に表現しているところが私は素晴らしいと感じました。人を救うことによって自分が救われる。この世の中の普遍的な原理を、再生の物語として映画に取り上げた時点ですでにこの映画の勝利を確信していました。