<ネタバレ>単にゲイの映画と言い切ってしまうのは惜しい程の完成度の高い映 .. >(続きを読む)
<ネタバレ>単にゲイの映画と言い切ってしまうのは惜しい程の完成度の高い映画だと思います。まず全体の情景が何とも美しい。こんなに自然の美しさをそのまま撮れてる作品も珍しいです。しかしそこにそのままゲイの2人を美化して投影するだけではないのもいい。今でこそ多少の市民権を得た感じもありますが、当時は絶対許されなかったでしょうし、この展開も致し方ないかなと。それでも性癖って理屈ではないから、当人達は本当に苦しかったのでしょうね。お互い告白らしい告白を中盤以降まで全くしなかったのも「秘密」という感じを強める効果になってて良かったです。
賛否あれど出会ってから20年以上も想い続けたのは間違いなくひとつの「愛の形」であり、それをどうこう言うのは違うのかもしれないですね。しかしそこには当然、マイノリティを排除したがる世間の冷たい目・厳しい目がつきまとう事も、この世の中から消える事がない反応だとも思います。
出演者も皆素晴らしい演技で、特にヒース・レジャー演じるイニス(特に終盤、別れようと切り出してから泣いて抱き合う場面と、形見のシャツを抱きしめる所の表情)とその妻役を演じていた方(夫のゲイ不倫を確信してからの今にも爆発しそうな表情)の演技は秀逸でした。
しかしきっかけとして仕事の時に最初に襲ったのはイニスでしたが、あの時のイニスの心情がちょっと分からなかったです・・・。人肌恋しいだけではああはならないだろうし、元々2人ともバイセクシャルの気質だったのでしょうか?お互いに女性も普通に愛し、家庭を持っても、貧困やら妻側の親に睨まれたりと苦しい生活の中で、情景共々美しい思い出としてブロークバックマウンテンに帰りたくなるのは自然な事なのかもしれませんね。
ラスト、家庭もなくし、娘も嫁ぐ事が決まって1人ぼっちのイニスが、クローゼット裏側に貼ってあるブロークバックマウンテンの写真と、ジャックの形見のシャツを眺めて、天国のジャックに語りかけるシーンは何とも切なくもあり、幸せそうでもありました。