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<ネタバレ>まさに時間を忘れ食い込むように観てしまう渾身の作。平凡な自らを棚に上げて黒人批判のボルテージを上げ、みるみる周囲を不幸にしてゆく兄、その兄に従う弟、止められない家族、やがて最も野蛮と化してゆくグループ。実際のナチスもこのようにして不況下の不安で絶望的なドイツ人の心を掴んでいったのだろうか。原因は父を殺された怒りと脈々と続く黒人差別の伝統、そしてその実際に求められていたが、グループのメンバー達は全員単なる憂さ晴らしにしか見えなかった。ポスター等をはがす場面は救いがあってよかったが、兄はともかく弟は、改心するにはあまりにも早すぎるような気がした。弟は自分自身の確固たる意思が見えず、兄に常に命令され付き従う運命となっており、可哀相だった。この映画は衝撃的で考え込んでしまうが、暴力の連鎖を断ち切るためにガンジーのように非暴力不服従になるのも間違いだと思うので、せめて憎む相手の属性を一般的に憎むのではなく、特定個人を憎むだけにして欲しいと思った。それにしても、人の気持ちも全く考えず突っ走った兄はむかつく。母親ももっと強固に反対すべきだった。なんかじれったい気持ちが残ってならない。