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<ネタバレ> まさに『ヤクザと家族』でした。ここまでしっかりとタイトルで内容を表している映画なんてのも最近では珍しい。直球ですね。日本におけるヤクザのここ数十年の環境の変化をわかりやすく描いている。「ヤクザ」「暴力団」「反社」。呼称もさまざまだが彼らを取り巻く環境も激変したのであろう。翼のようなヤクザでもない半グレのような存在も台頭し、少なくともかつてのように一つの大きい組織が一帯を牛耳るといった状況はほぼ無くなってきているんだろう。
どうしても主役となる山本目線で描かれるため、ヤクザの立場を美化したものに映りがちだが、それだけに終盤元ヤクザであることがバレた山本に悪徳警官の大迫が言い放つひと言、
「お前らがやってきたこと考えりゃ当然の報いだろ」が響く。
作中では山本のヤクザとしての「仕事」はほとんど描かれない。せいぜい麻薬を売らない信条があるといった程度だが、やはりヤクザである以上誰かや何かを食い物にして生計を立てているはずで。柴崎組の「シノギ」が具体的にどういうものか知らないが、「道を極めた漢達」の仕事がどういうものなのか描いて欲しかった気持ちもある。まあそれを描くと柴崎組やその組長の見方もだいぶ変わってくるとは思うが。
でも、どうしてもこの手の映画はSNSの表現が過剰な気がします。いち地方に勤める市役所職員の家に元ヤクザが出入りしてるとか、仲良くピースサインしてる程度の画像があれほど拡散されるだろうか。よっぽど他にニュースがない平和な街なんだな、しきりにヤクザ同士の抗争が起こる割には。まあ単にああいう街だからヤクザ情報に敏感だということかもしれないけど。
「真っ当に生きたい」そう言いながらも安易に入れ墨を入れたり誰かと家族の契りを交わしたり、やはり先述の大迫刑事のセリフがどこかから聞こえてくる、そんな映画でした。