豪華客船をまるごと造ったセットはもちろん、あの楽隊やベッドに .. >(続きを読む)
豪華客船をまるごと造ったセットはもちろん、あの楽隊やベッドに横たわる老夫婦など、映画の随所まで散りばめられた徹底的な考証を基に再現されたリアリズムは確かに素晴らしい。パニック映画という部分では大変リアルに感じられ、思わずスクリーンに引き込まれた。公開当時はジャックとローズのラブロマンスに涙した方々も多かったが、あの二人には泣けるほど感動はできなかった。むしろプロに徹して死んでいった楽隊の人々、「海の上のピアニスト」のように彼らを主人公にしたらもっと涙できたかもしれない。自分に置き換えて考えると、人間のエゴむきだしになるあの究極の状況で、彼らのような冷静な行動をとれるとはとても思えない。女子供を先に逃がし、ワインを片手に決闘やギャンブルに興じ、あるいはプロとしての職務を全うした彼らの究極のダンディズムは尊敬に値する。