主人公・タナカヒロシは平凡な生活を送る32歳独身。セリフは最 .. >(続きを読む)
主人公・タナカヒロシは平凡な生活を送る32歳独身。セリフは最低限しか吐かず、態度も一般的。まさに「観客の感情移入先はこちらです」と案内されているようなものだ。まんまと思いっきり感情移入させられた。で、ストーリーが進むにつれ、それまで空気のようだった周りの環境がガラガラと音を立てて崩れ始める・・・。誰しもが直面するだろう”ちょっと不安だけどあまり考えたくない”未来を赤裸々に描いていて、どきどきした。やがて人は孤独になっていく・・・なんかタイムテレビで未来の自分を見せられた気分になった。主人公が最後の砦であるネコを必死で守ろうとするのもまた切ない。彼にとっては、ネコが心の最終ラインだったのだろう。自分にとっての最終ラインは何だろう?と考えてしまう。ラストはとってもさわやか。あと、脇役が豪華でびっくりした。監督のセンスのおかげか、いいところをそろえている。久しぶりにキラリと光る小品だった。